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スペイン留学日記

スペイン内陸のある町に留学中。思ったこと、やってみたこと、いろいろ記録していきます。

日本人が言語を習得するのが難しい理由

日本人でも外国語が堪能という方はたくさんいますが、一般的に苦手だという方のほうが多いですよね。

 

それがなぜなのか、私なりに思うことをまとめてみます。

 

 

①日本語話者だから

 

日本語と、スペイン語を比べてみます。

 

スペイン語は日本人にとって比較的簡単だと言われる理由は、音が似ているからです。

 

あ、い、う、え、おの音を母音といいますが、日本語では子音だけの音というのがありません(「ん」の音を除き)。

例)りんご→ri+n+go

 

一方、スペイン語も基本的に子音と母音がくっついていることが多いので、逆に言えばカタカナ表記ができてしまいます。

例)manzana(=りんご)→ma+n+za+na→マンサナ

 

しかし、英語のappleをカタカナ表記してみようとしても、うまくいきません。よく見かけるカタカナ英語「アップル」はローマ字で表すと “appuru” となり、元の単語とかけ離れてしまっています。

 

つまり、その言葉が習得しやすいかどうかは、母語である日本語とどれだけ共通点があるかということに関係しているように思うのです。

 

共通点ということで見れば、日本語は言語系統が不明な言語であり、似ている言語がありませんので、スペイン人が同じロマンス諸語のひとつであるイタリア語を勉強するのと同じようにはいきません。

 

スペイン語とは音声が似ているけれど文法もリズムも違う、さらに英語と比較すると余計に共通点は少なくなり、だから日本人は英語が苦手だと広く言われているのでは。

 

もちろん、言語学習の要素は発音だけじゃありません。文法や言い回しなど、覚えることはたくさんあります。しかし、ここで日本人が外国語を苦手とする原因がひとつ見えてきます。

 

 

②「外国語=コミュニケーションの手段」という意識の欠如

 

日本に住んでいる日本人が話す言語は何でしょう。もちろん日本語です。

 

では、スイスの公用語は?答えは、ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語の4つです。

 

つまり、日本人は日本語だけ話せれば生きていけるのに対し、スイス人はスイスという国の中に4つの言語を話す地域を持っており、母語でない言語を話さなければならない可能性があるわけです。

 

日本人にとって外国語は、日本で生きていく上では使う機会がめったにない、なくても困らないものです。それゆえ「外国語=日本人が日本語を話すのと同じように外国で話されている言葉」という当たり前の感覚が欠如してしまっているような気がします。

 

外国に住んでいて、外国語を使わなければいけない状況を想像してみてください。そういう環境ならば、生きるためにどうにかその言葉を習得しようとするでしょう。言葉が話さなければ財布を盗まれても警察に何が起こったか説明することもできなければ、お店で「これが欲しい」と伝えることすらできません。

 

本来言語とは、「コミュニケーション」のためのものなのです。

 

ここで①の最後の内容と絡んできます。

 

海外旅行に来たとします。空港に到着し、勉強してきた知識を駆使して外国語で「市内へ行くにはどんな交通手段がある?」とサービスカウンターで質問します。

サービスカウンターのお姉さんが「バスかタクシーがある」と答えてくれました。しかし、もしあなたが文法を勉強することにばかりこだわり、言語のコミュニケーションとしての側面を無視してしまっていたら、せっかく答えてくれた内容が聞き取れず、キャッチボールがそこで止まってしまいます。

 

コミュニケーション、会話において大事なことは、お互いの言っていることを理解するということです。

 

もちろん文法が頭になければ何も伝えることができません。ですが、それより大切なことは「意思疎通すること」であり、「ただしい方法で話す」ということはその次のステップなのではないでしょうか。

 

日本で外国語を使う機会がないということに関連してさらに③へ移ります。

 

 

③外国語を使うことに自信が持てない

 

プレゼンテーションをしなければならないことになりました。

何度も練習を重ね十分に準備をしておけば本番で焦ることはありませんが、練習が足りないとうまくいくか不安になってしまいます。

 

これと同じことが言語にも起こるのでは、と考えます。

 

日本人は日本で日本語だけを話して育ちます。近くに外国人が住んでいるということは珍しく、外国人と関わること、つまり外国語を聞く・話す機会はほぼないと言ってもいいでしょう。

 

何が言いたいかというと、外国語の練習の場がないということです。練習もなしにいきなり本番を迎えたってうまくいかないに決まっています。

 

でも学校で英語を勉強してるじゃん!という声が聞こえてきそうですが、大半の学校で教えている内容は文法・リーディングばかりで、スピーキング・リスニングに重点を置いた教育をしている学校は少ないのではないでしょうか(少なくとも私の学校ではそうでした)。受験のための教育という側面が残念ながら強いので、実践で役に立つかは…というかんじです。

 

そして文法ばかり詰め込まれるので、逆に文法にがんじがらめにされてしまっており、いざ話すときに「この表現はこうであってるのか?」「あんな表現があったけどどんなんだっけ?」と余計なことばかり考えてしまいます。

 

この本は難しすぎて理解できない。という内容は

This book is too dificult to understand.

でも表せるけれど、

I can't understand this book because it's very difficult.

という、より簡単な文でも表すことができます。

 

伝えたいことを覚えた表現に当てはめようとするのではなく、噛み砕いてエッセンスを取り出し、自分のもつ語学力でどう表せるかを考えるという方法の方が簡単ではないでしょうか。

 

裏を返せば、真面目に英語の文法を勉強してきた日本人は、持っている表現の幅が広いということです。やはり必要なのは実践的な会話の練習、そして外国語で話すのに慣れること、なのではと思います。

 

実際、私もスペインに留学する前までは外国語で会話することに慣れておらず、英語もスペイン語もたどたどしかったですが、スペイン語に慣れてきた頃には、なぜかまったく触れていなかった英語も(文法は忘れて壊滅的でしたが、聞き取りやちょっとした会話などは)マシになっていました。

 

その点4ヶ国語に触れる機会のあるスイス人は言語習得も早いのかもしれませんね。

 

 

以上、私が考える「日本人が言語を習得するのが難しい理由」でした。

 

日本人だから、日本語にRとLの音がないから、ということがハンデになるということは、…あるのかもしれませんが、外国語を学ぶということはどの国籍の人にとっても、「自分の使う言葉とは違う言葉を学ぶ」ということです。

 

勉強している言語に意識的に触れるようにする、外国語を難しく捉えすぎない、ということが言語習得の近道なのでは、と思います。

 

とはいえやっぱりなかなか難しいんですけどね…